介護職って底辺なの?看護師から転職して分かった安定と将来性を語る

介護職って実際どうなんですか?
大変そうですけど給料は少ないですよね?
将来性ってあるんですか?

 

「新卒で看護師として働いた後、介護職員へ転職した経験があります」と言うと、上記のような反応をされることが多々あります。

それに対する私の答えは、「介護職って安定してるし、実はめちゃくちゃ将来性ありますよ」なのですが、介護職の実態はあまり表に出ないためか、将来性のない仕事だと思っている人が多いように感じます。

ネットで調べてみると、「介護はブラック!」「就職できない人がやる仕事!」など、ひどい言葉も目に飛び込んできます。

私はこうした言葉を目にするより先に介護職へ転職したので、ネットで飛び交うさまざまな噂を見た時には少し驚きました。

そして介護職として働いた経験を持つ今では、こうした噂はイメージだけで語られている部分が多いと感じており、実際には安定しており将来性のある仕事だと感じています。

今回はそんな私の経験から、介護職の実態と今後の展望についてお話しようと思います。

 

・介護職はブラックで底辺だと思っている
・介護職の実態を知りたい
・介護職の今後と将来性が気になる

 

なぜ介護職は「底辺」と言われるのか

介護職が底辺と言われるのは、給料が低いこと、そして「きつい・汚い・危険」の3Kのイメージが強いことが理由でしょう。

介護業界は慢性的な人手不足に悩まれされているため、求人はいつでも溢れ返った状態で、さらに未経験者でも働けるというところが、「底辺」のイメージを加速させているように思います。

また体力仕事という側面から、多くの人は介護を過酷な仕事として捉えているはずです。

その過酷さゆえ、離職率の高い仕事として認識されており、「自分がやる仕事ではない」、「できれば避けたい職業」と考えている人が多いのが現状ではないでしょうか。

そんな中私が介護職を経験して感じたことと言えば、「人間関係の悩みがなくて楽しい」、「自分の意見が通りやすい」、「お給料もしっかりもらえていい感じ」と世間のイメージとは真逆です。

しかし、世間では介護職に対するマイナスなイメージが先行しているせいか、こうした介護職の良い面はなかなか注目されることがありません。

そんなこともあって、介護職は「底辺」という認識が広まってしまったのではないかと感じています。

 

介護職員の1日のスケジュール

ここで少し、私が介護職員として働いていた時の1日のスケジュールをご紹介します。

ほんの一例ではありますが、似たような勤務体系をとっている介護施設は多いのではないでしょうか。

日勤のシフト(8時間勤務)

7:00~ 出勤・申し送り事項確認
7:15~ 朝食配膳
9:00~ シャワー介助
10:30~ 15分休憩
10:45~ シーツ交換
11:30~ 昼食配膳
12:30~ 昼休憩
13:30~ 記録入力
14:45~ おやつ配膳
15:00  退勤

 

昼勤のシフト(6時間勤務)

15:00~ 出勤・申し送り事項確認
15:15~ おやつ片付け・トイレ介助
16:00~ パジャマの着替え介助
17:30~ 夕食配膳
19:00~ 夕食休憩
19:30~ サパー(軽い夜食)配膳
20:00~ 記録入力
21:00  退勤

 

基本的には時間通りに仕事をしますが、コールがあればその都度利用者の元へ行き、トレイ介助や更衣の介助などをします。

休憩は他のスタッフと交代で取るため、上記の通り休憩時間はしっかり確保できます。

さらに残業代は1分単位で出ますが、私は実際に残業をしたことはほとんどなく、あったとしても5分程度の超過です。

「介護職=過酷な仕事」という世間の認識とは裏腹に、仕事とプライベートをしっかり分けることができる職種です。

個人的なことを言うと、看護師をしていた時の方がはるかに残業時間が多く、しかもそのほとんどが手当ての出ないサービス残業だったので、介護職はブラックというよりむしろホワイトな業界だという印象です。

 

介護職には将来性があると言える理由

さて、私は「介護職には将来性がある」と言いきれるのですが、その理由は以下の通りです。

  • 業界全体が労働環境の改善に取り組んでいる
  • 介護職員の離職率は低下傾向にある
  • 国の後押しがあり年収アップが期待できる

 

業界全体が労働環境の改善に取り組んでいる

介護業界に対するブラックな噂を一番敏感に察知しているのは、介護業界そのものでしょう。

給料が低いこと、「きつい・汚い・危険」の3Kというイメージが定着していること、さらに離職率が高いこと。

このような認識の広がりは、介護は自分がやる仕事ではないと考える人を増やすことに繋がり、介護職の需要と供給に大きな差を生むことになります。

少子高齢化の進む現代では、今後も介護職の需要は増加の一途をたどるため、介護業界はこれまでのネガティブなイメージ払拭して人材確保に繋げようと、業界一丸となって職場環境の改善に取り組んでいるところです。

また人材確保だけに限らず、キャリアアップのための資格取得補助人事評価システムの導入によって、現職の職員に対する業務改善も積極的に進められています。

さまざまな資格を持つ職員が専門知識を活かして働くことで、介護業界全体のレベルは上がっていきます。

そのため、介護職はいずれ「未経験者でも働ける仕事」ではなくなることも考えられます。

これから介護業界に挑戦する人にとっても、現在介護業界で活躍している人にとっても、より働きやすくより成長しやすい環境になっていくことは間違いありません。

 

介護職員の離職率は低下傾向にある

介護職の離職率が高いというのは、すでに一昔前の話になりました。

こちらは産業別の離職率を表したものです。

産業別離職率を示す棒グラフ

参照元:平成30年雇用動向調査結果の概要 - 厚生労働省

 

他産業の離職率と比較して介護職の離職率が抜きん出ているわけではないことから、「介護職は離職率が高い」というのは、やはりイメージで語られているということが分かります。

また、介護職員の離職率はどのように推移しているでしょうか。

以下のグラフを見てください。

参考:介護労働の現状 - 厚生労働省

 

介護職員の離職率は低下傾向にあることが分かります。

上述通り、介護業界は業界全体で職場環境の改善に取り組んでいますが、離職率が低下傾向にあることからもその成果は出ていると言えるでしょう。

離職率が低下傾向にあるというのは、言い換えれば職員の満足度が高く定着率が良いということです。

こうした離職率は介護職の将来性を判断するための大きな指標のひとつであり、今後はさらに定着率が改善されると考えます。

 

国の後押しがあり年収アップが期待できる

介護職員の人手不足は、介護業界だけの問題ではありません。

少子高齢化の進む現代において、介護職の需要が高まり続けることは明らかで、さらなる人手不足が懸念されます。

こうした事実は国全体の問題として認識されており、国は介護事業を後押しすべく「介護職員処遇改善加算」という取り組みを行っており、介護職員の給与を底上げすべきとしています。

待遇に対する不満の声はまだあるものの、介護職員の平均給与は約1年間で1万円上昇している事実もあります。

(参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 - 厚生労働省

介護の問題は国民全員に直接関係する分野であるがゆえ、国の後押しはさらに加速することが予測されます。

こうした国の取り組みは、介護職員の給与上昇や待遇改善に直結するでしょう。

 

介護職員として働くという選択

介護職の実態と今後の展望についてお話してきました。

ここまでのお話をまとめると、

  • 業界全体が労働環境の改善に取り組んでいる
  • 介護職員の離職率は低下傾向にある
  • 国の後押しがあり年収アップが期待できる

 

上記の理由より、介護職は安定していて将来性のある仕事だと言えます。

介護職の楽しさに触れてみたい、実際どんな感じで働いているのか見てみたいと思う方は、ぜひ一度介護施設に見学に行ってみてください。

世間で語られている「イメージ上の介護職」ではなく、「実際の介護現場」を見ることで、介護職に対する価値観は大きく変わりますよ。

職業選択で迷った時は、「介護職員」を選択肢のひとつに入れてみてくださいね。