【脳外科・脳卒中科】看護学生が情報収集で押さえておくべきポイント

今回は、脳外科・脳卒中科で実習をする看護学生が情報収集で押さえておくべきポイントを解説します。

臨床実習をひかえた看護学生のみなさんは、不安と緊張でいっぱいのことと思います。

もしかしたら、実習が楽しみだという人もいるかもしれませんが、きっと少数派ですよね。

私も実習を目前にひかえた大学3年生の時は、一刻も早くこの実習期間が終わってほしいと、祈るような日々でした。

実習が始まったら始まったでレポートに追われ、こわい看護師に怯え、「自分の味方なんて誰もいないんだ」と何度思ったことか。

そんな私も、脳外科・脳卒中科の看護師になってからは実習生と関わるようになり、指導者として学べたこともたくさんありました。

そこで、学生と指導者どちらの立場も経験した今だから分かる情報収集のコツをまとめました。

 

・脳外科で臨床実習をする予定
・脳外科で実習中だけど情報収集の仕方が分からない
・これから急性期実習がある

 

脳外科・脳卒中科の看護師視点でまとめましたが、もちろん他の科にも共通する部分は多いので、実習をひかえた看護学生の方はぜひ参考にしてくださいね!

 

脳外科・脳卒中科の情報収集で押さえておくべきポイント

 

バイタルサイン

情報収集で欠かせない項目と言えば、バイタルサイン。

血圧、心拍数、呼吸数、体温、酸素飽和濃度は必ず確認しましょう。これは基本中の基本です。

そしてこの時、当日のバイタルサインだけではなく、前日や2日前と比べてどう変化しているか見ることが大切。

看護師は患者さんの1日の様子だけではなく、入院してからの経過を見て(看て)いるので、実習生のみなさんも患者さんの経過を把握するようにしてください。

比較対象があることで、「今日は昨日より呼吸状態が良くなっているな」とか「ここ数日は血圧が安定しているな」という気付きが得られます。

また、脳外科・脳卒中科では、脳出血の予防のために血圧を低めにコントロールしている患者さんがたくさんいますが、そんな患者さんが高血圧になってしまうと、重大な状態悪化を引き起こす可能性もあります。

バイタルサインをきちんと情報収集しておくことで、患者さんの小さな変化にも気付けるようになるので、カルテを開いたらまずバイタルサインを確認する、という気持ちでいてください。

 

既往歴・麻痺の有無

患者さんの現疾患だけでなく、既往歴にも注目しましょう。

脳外科・脳卒中科に入院している患者さんは、脳梗塞や脳出血を繰り返している場合が多いです。

そのため、手足に麻痺が残っていたり、言語障害があることもしばしば。

例えば数年前に脳梗塞になって、右半身麻痺があったとします。

この場合ナースコールは右手では押せないので、左側に設置する必要があります。

食事の際はお箸ではなく、持ちやすいスプーンやフォークを左手に持たせてあげる必要があるかもしれません。

また、トイレに行きたいと思ってもひとりでは立ち上がれないため、看護師が車いすを用意して移乗の介助をする必要がありますよね。

このように、既往歴を知ってくことで患者さんの抱える問題が見えてきて、そこから自分は何をすべきなのかアセスメントすることができます。

看護計画を立てる上で既往歴は重要なカギとなります。

患者さんの今の状態だけではなく、既往歴や生活背景を知った上で関われるよう心がけましょう。

 

くすりの種類

看護師は、実習生に対して必ず「この患者さん、何のくすり使ってる?」と聞きます。

なぜなら、これが分かっていないと重大なインシデントに繋がる危険性があるからです。

ここで言うくすりとは、点滴と内服薬のこと。

「このくすりは何のために飲んでいるんだろう?」、「どんな合併症が考えられるだろう?」、「昨日の夜から点滴が変更になっているけど、前の点滴とは何が違うんだろう?」と、意識して情報収集してください。

これができると、アセスメントもしやすくなります。

いくつか例を挙げると

  • 糖尿病に対して血糖値を下げるくすりを飲んでいるから、低血糖症状に注意が必要だな
  • 脱水症状に対して補液が始まったんだな
  • 栄養状態が悪くなってきたから、高カロリー輸液に変更になったんだな

 

といった感じですね。

また、もしくすりに関して上手くアセスメントできない場合は、そのまま放置せず、朝一番に看護師に確認してください。

実習を終えて1日の振り返りをする際、「くすりのことで質問していいですか?」と聞いてしまうと、「何でちゃんと確認せずに1日過ごしたの?」と言われてしまいます。

くすりに関する情報はとても大切なので、分からない時にはきちんと教えてもらってくださいね。

 

検査データ

脳外科・脳卒中科では、頭部CT、頭部MRI、脳血管造影検査が頻繁に行われます。

これらの検査結果は電子カルテにすべて反映されるので、数値、画像、医師の記録など、すべて目を通すようにしてください。

検査結果からは、患者さんの状態が良くなっているのか、または現状維持できており悪化は見られていないのか、それとも悪化が見られるのか、ということが分かります。

看護師は、これらの検査結果や医師の記録を見ることで、次に医師からどんな指示が出されるか予想したり、看護計画を立て直したりしながら動いています。

実習生にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、検査結果にはバイタルサインからは見えてこない部分がたくさんあります。

ここまでできていると、看護師からは「よく情報が取れているね」と言われるはず。

ぜひ検査結果を見る癖をつけてくださいね。

 

家族の情報

先ほども挙げた通り、脳外科・脳卒中科の患者さんは手足の麻痺や言語障害がある場合が多く、家族の介助なしでは生活ができない人もたくさんいます。

家族の情報として知っておきたい内容は以下の通り。

  • 同居家族がいるかどうか
  • 家族のサポートを得られるかどうか(仕事の都合など)
  • 同居家族がいない場合、他にサポートしてくれる人はいるかどうか
  • 訪問看護などのサービスについて知っているかどうか

 

看護師は、患者さんだけでなく、その家族への情報提供やサポートを求められる場面がたくさんあるため、家族とも積極的にコミュニケーションをとっています。

そのコミュニケーションの中から、「訪問看護などのサービスについて情報提供をした方がいいな」、「ソーシャルワーカーを交えた話し合いの場を設けた方がいいな」ということを考えています。

退院後の生活について話をする際には、家族同席のもと話を進めていくことも多いので、患者さん本人のことはもちろんですが、家族背景もしっかり把握してアセスメントの幅を広げていってください。

 

看護師同士の口頭申し送り

これはおまけ的な話になりますが、もし看護師同士の口頭申し送りがあれば必ず参加しましょう。

私が働いていた病院では、電子カルテから情報収集した内容を再度口頭で申し送る必要はないというのを理由に、申し送りが廃止されました。

近年、業務の効率化を図る目的で申し送りを廃止する病院は増えていますが、もちろん申し送りがある病院もまだまだあります。

なので、もしそのような病院で実習するのであれば、看護師がどのようなことを共有し合っているのか、把握するよう心がけてください。

電子カルテにはすでに情報が網羅されているので、口頭では特に重要な部分だけ申し送ります。

申し送りを聞くことで、自分が今日注意して見るべき点が明確になるので、効率よく情報収集することができますよ。

 

まとめ

今回は、脳外科・脳卒中科で実習をする看護学生が情報収集で押さえておくべきポイントを解説しました。

最後にもう一度、要点をまとめておきますね。

  • バイタルサイン
  • 既往歴・麻痺の有無
  • くすりの種類
  • 検査データ
  • 家族の情報
  • 看護師同士の口頭申し送り(もしあれば)

 

これらのポイントを押さえておくと、脳外科・脳卒中科での実習はとても有意義なものになります。

情報収集がきちんとできていれば、それだけアセスメントもしやすくなり、しっかりとした看護計画の立案にもつながりますよ。

あまり緊張しすぎず、楽しい実習をしてくださいね。

応援しています!