私は新卒で就職した病院で脳外・脳卒中科の配属になって以来、4年にわたって脳血管疾患を持つ患者さんと関わった経験があります。
この記事では、私が働いている時に感じた脳外科看護師のやりがいについてお話しようと思います。
・脳外科病棟への異動に興味がある
・脳外科で働いているけどやりがいが見出せない
脳外科病棟で働く看護師のやりがい
患者さんの回復がはっきり見える
脳外科病棟で働いてやりがいを感じる場面はたくさんありましたが、やっぱり一番のやりがいは患者さんの回復が見られることです。
脳外科に運ばれてくる患者さんは、思いもよらない事故に巻き込まれて頭に傷を負った人だったり、仕事中に急に脳血管障害で意識がなくなった人だったりと、状況はさまざま。
生活する上で数々の指令を出す脳ですが、そこに大きなダメージを負ってしまうと、元の生活に戻ることが難しくなる場合もあります。
実際、私が働いていた時にも予後が悪いとされる患者さんにはたくさん出会いました。
ですが、そんな中にもびっくりするような回復を見せる患者さんがいます。
病院に運ばれてきた時には意識がなかったのに、徐々に意思疎通が図れるようになり、リハビリを継続することで看護師の介助なしでできることがどんどん増えていく。
そして元気に退院し、職場にも復帰!
このような患者さんの姿を見ると、脳外科の仕事って楽しいなと実感します。
中には、「今ではこんなに元気になりました!」と時々病棟に顔を見せに来てくれる患者さんもいて、一緒に喜びを分かち合うこともあります。
こういった患者さんの回復を傍で見ることは、脳外科病棟で働く看護師のやりがいに直結します。
患者さんの家族に「ありがとう」と言われる
脳外科には元気に退院していく患者さんもいる一方で、意識がないままの患者さんもたくさんいます。
そのため、入院してきてから退院あるいは転院するまで、一言も言葉をかわすことなくお別れすることも珍しくありません。
そんな時、患者さんの家族から「ありがとう」と声をかけられると、嬉しい気持ちでいっぱいになります。
たとえ患者さん本人とコミュニケーションが取れなくても、患者さんに一番近い存在の家族から「ありがとう」だったり「本人も喜んでいると思う」といった言葉をかけてもらえると、それだけで救われるんですよね。
家族から聞いた話をヒントに、次のケアではこうしてみよう!と看護計画を立てることだってできます。
患者さんだけでなく、その家族までひっくるめて関われるのは、脳外科病棟だからこそだと思います。
他職種と連携して仕事ができる
脳外科には、術直後からどんどんリハビリをする必要がある患者さん、また退院後も継続的に医療サービスを受ける必要がある患者さんがたくさんいます。
そんな患者さん達を多方面から支えるため、脳外科には他職種がひっきりなしに出入りしています。
私が働いていた病院では他職種との合同カンファレンスが毎朝あって、対象の患者さんひとりひとりの治療方針を共有し合っていました。
このカンファレンスには
- 医師
- 看護師(脳外科病棟、回復期リハビリテーション病棟、ICU、HCU、SCU、地域連携室)
- セラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)
- 管理栄養士
- ソーシャルワーカー
これだけ多くの人が参加します。
「チーム医療」という言葉はよく耳にすると思いますが、脳外科で働いているとチーム医療を肌で感じることができます。
他職種と連携して働くことで、看護師にはない考え方を学ぶことができるので、それだけ視野も広がって楽しいですよ。
自分自身の成長を実感できる
脳外科で働いていると、自分の成長を実感できる機会がとても多いです。
私が一番自分の成長を感じたのは、脳室ドレナージの管理ができるようになった時。
何も知らなかった新人の頃は「頭から管が出てるってどういうこと!?」とパニック状態で、何をどう管理すればいいのか分かりませんでした。
ですが、勉強を重ねて先輩看護師と一緒にドレーン管理をしていくうちに、なぜこの患者さんには脳室ドレナージが必要なのかとか、どのような状態の時に医師に報告すればいいのか、といったことが分かるようになりました。
このような自分の成長は、「脳外科の仕事って楽しいな」という仕事へのモチベーションにも繋がるんですよね。
脳外科ってなんか難しそうと感じる人もいるかもしれませんが、心配しないでください。
私も初めはゼロの状態でしたが、勉強と実践を重ねていくうちに楽しく仕事ができるようになりました。
脳外科の仕事にやりがいを感じられない場合
ここまで、脳外科看護師のやりがいについてお話してきましたが、中にはやりがいを感じられないまま脳外科で働いている人もいると思います。
その理由はいくつかあると思いますが、私の経験をもとに考えたことをまとめますね。
まず考えられるのが、脳外科で働き始めたばかりの新人であること。
これは私自身の経験からも言えることですが、新人の頃は辛いことも多く、意気消沈することは何度もあります。
初めは覚えることだらけで、1日を乗り切るだけでへとへとになることもあるので、そんな状況の中やりがいを見出せない人がいるのは当然だと思います。
また、異動で脳外科に変わってきたばかりという場合でも、やりがいを見つけるまでに時間がかかるかもしれません。
私が働いていた時にも他病棟からの異動、あるいは他院からの中途採用で脳外科に入ってくる人はたくさんいましたが、慣れない環境には戸惑いがつきものです。
これは、たとえ看護師としての経験年数が長かったとしてもです。
ですがこのような新人看護師、あるいは異動したばかりの看護師の場合、数週間、数ヶ月と時間が経つにつれてどんどん仕事に慣れていき、楽しく働けるようになります。
そして、それがやりがいに繋がる日は必ずやってくるので、「今はその過程の途中なんだ!」と前向きに捉えてほしいと思います。
そして他にやりがいを感じられない理由として考えられるのは、人間関係や職場環境の悩みです。
仕事を続ける上で、人間関係や職場環境に満足できるかどうかは重要なポイントです!
場合によっては他病棟への異動を申し出たり、他院へ転職した方が楽しく働けることもあります。
仕事はきちんとこなせるようになったのに、なぜかやりがいを感じられないという人は、自分がなぜやりがいを感じられないのか、一度じっくり考えてみてください。
しんどい思いを抱えながらではなく、やりがいを感じながら働くからこそ、看護師の仕事っておもしろいんです。
まとめ
今回は、脳外科看護師のやりがいについてお話しました。
ここでは、脳外科で働く看護師に焦点を当ててお話を進めてきましたが、この他にも看護師としてのやりがいを感じる場面はたくさんあります。
看護師は「大変」、「きつい」、「しんどい」というイメージを持たれることが多く、実際にその通りだと思いますが、そんな大変さの中に小さなやりがいたくさん見つけることで、看護はとても楽しいものになると感じています。